なないろこどもクリニック なないろこどもクリニック

コラム

コラム一覧

咳止め風邪薬について(文献的まとめ)

●チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン)
日本で古くから小児科外来で使用されている鎮咳剤
動物実験で得られた鎮咳作用を元に承認されているが、ヒトで実証されたデータが存在していないため、西村龍夫先生らのグループがアンケート調査を実施。2019年の調査結果によると、薬効に反して,母親の感じる咳嗽症状の経過,初診時と投与後の咳嗽症状の強さの変化はカルボシステイン単独群が優れており,チペピジンヒベンズ酸塩を併用すると咳嗽症状が改善しないという結果を得たとのこと1)
要するにアスベリンは、咳止めの効果があまりないらしい。
 
その他の鎮咳剤
●コデインリン酸塩水和物:12歳未満は禁忌
●デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(メジコン):急性咳嗽には効果なし2)
●クロペラスチン塩酸塩(フスタゾール):鎮咳作用は、モルモットではコデインリン酸塩水和物より強力、ヒトのデータがない。僅かながら抗ヒスタミン作用あり。
 
鎮咳剤の有効性を示すエビデンスがほとんどないのが現状
つまり気休めでしかない
 
●カルボシステイン(ムコダイン)
去痰剤。咳や痰の絡みはやや改善する3)
 
●アンブロキソール(ムコソルバン)
去痰剤。肺炎に対して長引く咳を軽減する効果あり4)
 
●抗ヒスタミン剤(アレロック、アレグラ、ザイザル、ザジテン、ポララミン、クラリチン等多数)
風邪症状が改善するのに要する時間が約1日短縮5)
3日以内に鼻水が改善する可能性は5−10%程度高まる6)
咳を軽減する効果なし7)
 
●プロカテロール・ツロブテロール(メプチン・ホクナリンテープ)
気管支拡張剤。適応は喘息、気管支炎、肺気腫。
感冒・上気道炎に対する鎮咳作用を示すエビデンスなし。
*同じβ2刺激薬であるエフェドリン・メチルエフェドリンは、鎮咳効果が認められているものの12歳未満は適応なし
 
●アセトアミノフェン(アンヒバ、カロナール)
言わずと知れた解熱鎮痛剤。鎮咳作用を示すエビデンスなし。
発熱期間やその他の症状の期間に影響しない8)
活気や機嫌は改善する9)
熱性痙攣の再発リスクに影響しない10

1)Smith SM, et al, Cochrane Database Syst Rev.2014;2014(11):CD001831
2)西村龍夫, 他. 外来小児科. 2019;22(2):124-132
3)Chalumeau M, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013; 2013(5):  CD003124
4)Principi N, et al. J Clin Pharmacol Res. 1986;6(5):369-372
5)Hugenin M, et al. Rev Med Suisse Romande. 1988;108(11):961-966
6)Sukchainanont B, et al. J Med Assoc Thai. 1990;73(2):96-101
7)Paul IM, et al. Pediatrics. 2004;114(1):e85-e90
8)Kramer MS, et al. Lancet. 1991;337(8741):591-594
9)Slapak I, et al. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2008;134(1):67-74
10)Murata S, et al. Pediatrics. 2018; 142(5):e20181009


なないろこどもクリニックのアクセスマップ

なないろこどもクリニック

〒276-0046 千葉県八千代市大和田新田458-10
047-459-3311 047-459-3311
  • 東葉高速鉄道「八千代中央駅」から東洋バス乗車、
    緑が丘駅経由八千代台駅行き「京成バラ園」バス停下車
  • 東葉高速鉄道「八千代緑が丘」から東洋バス乗車、
    八千代医療センター行き「京成バラ園」バス停下車
  • 駐車場あり:クリニック敷地内4台、クリニック裏砂利駐車場15台