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機能性ディスペプシア
「機能性ディスペプシア」
あまり聞きなれない病名ですが、意外と小児の消化器疾患の中では比較的頻度の高い疾患です。
「症状の原因となる器質的、全身性、代謝疾患がないにも関わらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」と定義されています。
食後に胃もたれの訴えがあり、みぞおち辺りをよく痛がるようだと、まずこの疾患を疑います。
ただ、この疾患の診断の難しいところは、器質的疾患がないというところ。
血液検査や便潜血検査、腹部レントゲン、超音波検査まではなんとか可能かも知れませんが、実際のところ、大人では内視鏡検査、つまり胃カメラを行って器質的疾患がないことを証明していきますが、小児にとってこの胃カメラ検査のハードルが非常に高いので、機能性ディスペプシアと明確に診断できないもどかしさが付きまといます。
でも、この疾患の子どもたちの共通点があるので大体、胃カメラまでは行わないのが通常です。
機能性ディスペプシアの子どもにおける共通点
・睡眠時間が十分でない
・運動不足である
・食事の時間が不規則である
・食事のバランスが悪い
などの生活習慣が良くないことが多く見受けられます。
まずは生活習慣の改善を行った上で、薬物療法は胃酸の分泌を抑制する胃薬か漢方薬を長期間内服して改善を図ります。
私の経験上、この疾患はお腹の症状だけに止まることのない心理的な闇を抱えていることもあり、児童精神やカウンセリングをお願いするケースも多いのが現状です。