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ホコリの中に食べ物のアレルゲン
興味深い2つの研究をご紹介
ひとつめは、2014年ノルウェーの研究グループから。
13歳児のいる143世帯について、マットレスから採取したハウスダスト中に食物蛋白質の検出データによると、①魚アレルゲン46%、②ピーナッツアレルゲン41%、③牛乳アレルゲン39%、④卵アレルゲン22%の検体から検出された1)そうです。
ふたつめは、2019年日本のコホート研究。
94人のベッドシーツからハウスダストを採取し、卵蛋白質量を測定したところ、ダニ蛋白質量に比べ、2倍以上多い検体が59%、10倍以上多い検体が25%、100倍以上多い検体が7%もあったとのこと2)。
この二つの研究から言えることは、ハウスダスト中のアレルゲンが、経皮感作を通じて食物アレルギーの発症に深く関与している、ということ。
つまり、1歳未満の乳児湿疹からの食物アレルギーを予防する上で、ハウスダスト対策が如何に重要なのかが分かります。
ただし、ハウスダストは絶対ゼロにはならないし、0歳児の湿疹も絶対ゼロにはならない(ある意味、必要悪と言われている)ので、湿疹とハウスダストとの関与を如何に減らすか、というのが鍵になりそうです。
1) Bertelson RJ, et al: Clin Exp Allergy, 44: 142-149, 2014[PMID24304208]
2) Kitazawa H, et al: Allergol Int, 68: 391-393, 2019[PMID30846303]